【宝珀:宇宙時間のスケールに挑む】
時計製造業界において、「宝珀」はその名を世界中に知らしめる高級腕時計ブランドとして、常に先端技術と伝統芸術の融合を目指してきました。2023年4月19日に開催されたバーゼルワールドで発表された新作「5200」は、その中でも特に注目を集めたモデルの一つです。この腕時計は、宝珀が掲げる「宇宙時間尺度」というコンセプトを具現化し、時計製造における革新的なアプローチを提示しています。
「宇宙時間尺度」とは、私たち人間が日常的に使用する24時間の時間を超えた、もっと広大で深遠な時間を表現しようとする試みです。宝珀はこのコンセプトを通じて、地球という惑星にとどまらず、より大きな宇宙観を時計の中に取り入れることを目指しています。
「5200」には特徴的な構造が採用されています。その最大の特徴は、「24時間表示機能を持つ独自の3D立体的ローター」です。このローターは、中央から発する放射線状のデザインを備え、その中心に配置された大型のアラビア数字で時間を示します。また、このローターには地球自転の様子が刻まれており、視覚的に時間の経過を感じさせる仕掛けとなっています。
さらに、「5200」は「宇宙時間尺度」をより深く表現するために、表冠側面に設けられたボタンを用いて日付表示機能と時間帯の切り替えが可能となっています。この機構により、1日の時間を従来のAM/PMではなく、24時間という視点から捉えることが可能です。
加えて、「5200」はその独特なデザインに加え、宝珀のアイコニックな特徴である「青いダイヤル」を採用しています。この深いブルーは、宇宙空間を感じさせる静寂と広がりを表現しており、時計全体のコンセプトに完璧にマッチしています。
これらの特長の中でも特に目を引くのは、その回転式表冠です。「5200」では、通常は固定されているはずの表冠を回転させることで、各種機能へのアクセスが可能となっています。この機構は、従来の制約を超えて新たな操作性と美しさを追求する宝珀の姿勢を示しています。
「5200」という時計は、単なる時間表示のためだけではなく、「宇宙時間尺度」を通じて人間が持つ時間に対する認識や感覚そのものを問い直す試みでもあります。このコンセプトは、未来に向けて新たな発想と技術革新を示唆し、宝珀というブランドが目指す先進性とアート性を強調しています。
【結び】
「5200」の登場は、ただ時計を見るためのツールを超えて、人間の時間感覚そのものにまで影響を与える可能性を持つ作品として注目を集めています。宝珀が追求する「宇宙時間尺度」というコンセプトは、単なる製品の進化以上に、時計という道具の新しい在り方を示唆していると言えるでしょう。